聖ペトロの使徒座の黙想(2月22日)
「この岩の上にわたしの教会を建てよう」

マタイ16・13~19

川越教会担当司祭 ヨハネ 加藤 智 神父


  カトリック教会は、2月22日に、主キリストの使徒聖ペトロの使徒座・ローマ司教座の記念をいたします。この記念日は、主キリストが、使徒ペト ロに語られた「あなたはペトロ(「岩」の意)。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てる」(マタイ16・18)とのおことばのように、主ご自身が 「使徒ペトロを『岩』として建てられた教会」の「一致のしるし」 として、既に4世紀に遡ってローマで祝われていたことが知られています。

  実は、主キリストは、先のおことばの直前に、使徒ペトロに、次のように問いかけておられました。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか。」(マタイ16・15)

  主キリストの使徒ペトロへの問いかけが特別の意味を持つことは当然です。しかし、私たち一人ひとりもまた、主から同じ問いを問われているの ではないでしょうか。主からこの問いが問われないところに、私たちの真のいのちはないからです。

  かつて、主の郷里ナザレの人々も主キリストから同じ問いかけを受けました。しかし彼らは、イエズスさまを主キリストと告白することができま せんでした。そのような中でしかし洗礼者ヨハネは、主が「神の子」であり、「聖霊によって洗礼を授けることがおできになる方」、「私たちに聖霊 を注ぐことがおできになる方」と告白し、自らは「主の道を備える者」として、謙遜の限りを尽くして殉教の死に至るまで主に仕えました。

  主キリストの使徒ペトロも、主から同じ問いかけを受けました。彼は、その当時彼を取り巻く多くの人々の中に、主のことを洗礼者ヨハネの生ま れ変わりだという者、エリヤだという者、あるいは預言者の1人だという者たちを含めて、イエズスさまについて様々な事をいう人々がいることを知っていました。

  しかし、ペトロ自身は、主キリストの問いかけに、「洗礼者ヨハネだという者もあれば、あるいはエリヤないし預言者のひとりだという者もいます」 と、他人ごとのように答えることはできませんでした。使徒ペトロは、主キリストのこの問いかけに、「あなたはメシア、生ける神の子です」と、主キ リストに対する彼自身の信仰を告白しました。

  否、この時、ペトロは、「あなたは生ける神の子・キリストです」と、主に告白する他なかったのだと思います。信仰の告白とは、自分の言葉に自 分の命を賭けることです。ペトロは、主キリストに彼のすべてを、彼の命を、賭けていたからです。そしてこのペトロに、主キリストもご自身を賭け、 彼にご自身のいのちをお与えになりました。

  マタイによる福音は、主キリストは、使徒ペトロのこのキリスト告白に応えて、「このときから、イエスは、御自分が必ずエルサレムに行って、 長老、祭司長、律法学者たちから多くの苦しみを受けて殺され、3日目に復活することになっている、と弟子たちに打ち明け始められた」 (マタイ16・21)と伝えています。

  主キリストはこの時、十字架でのご自身の奉献、すなわち私たちすべての罪の赦しのために、主ご自身が味わわれるご受難と十字架の死を、さらに、 私たちに聖霊をお与えくださるための主のご復活を、ペトロにはっきりとお示しになられたと言うことです。

  実は、これに先立ち、「あなたはメシア、生ける神の子です」とのペトロの告白に応え、主キリストは、「シモン・バルヨナ、あなたは幸いだ。 あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ」(マタイ16・17)と告げられた上で、後に初代ローマ司教とされる「岩」 なる使徒ペトロの上にご自身の教会をお建てになること、さらに彼に授ける「天国の鍵」の権能について、次のように約束されていました。

  「わたしも言っておく。あなたはペトロ。わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てよう。陰府の力もこれに対抗できない。わたしはあ なたに天の国の鍵を授ける。あなたが地上でつなぐことは、天上でもつながれる。あなたが地上で解くことは、天上でも解かれる。」(マタイ16・19)

  「それでは、あなたがたはわたしを何者だというのか。」ヨハネによる福音は、この同じ主キリストの問いに耐えられないままに、主から離 れて行った多くの人々がいたことを伝えています。その時、彼らの後に残されたペトロたち12人の弟子たちに、主は、「あなたがたもわたしを離 れて行きたいか」(ヨハネ6・67)と、お尋ねになりました。

  その時の、使徒ペトロの主キリストへの命がけの信仰の告白を、聖ペトロとともに私たちも命をかけて、ごミサの度に告白しています。

  「主よ、あなたは神の子キリスト、永遠のいのちの糧。あなたをおいてだれのところに行 きましょう。」(ヨハネ6・68、69)

  父と子と聖霊のみ名によって。  アーメン。



(「主日の福音の黙想」より)



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